No.57 申し訳けございませんといってくれ

ischia2006-10-18

ワクワクしながら飛行機を待つこと1時間。


私の乗る飛行機はエアーフランス、パリ行き576便。


だがフライト予定時間を過ぎても飛行機は到着せず、
次の時間のパリ行きが到着し、乗客を乗せて飛び立っていった。


どういうこと?!何で私のは来ないの?


乗客がざわめき始めたところで、係りの人が
「576便の人はゲートに付いているあのバスへ乗ってください!」
何の説明もなく、ともかくバスへ乗れという。


「ちょっと!どうなってんのよ!」
イタリア人の苛立ったおばちゃんがどなる。


「はーい、はい。今から説明しますから落ち着いて落ち着いて」


エアーフランスの係員がそれをへでもなくあしらって


「みなさん、お静かに!今から説明しますので。
皆さんが乗る予定でした576便は風の影響で当空港へ
着陸することができませんでした。
現在ボローニャ空港で待機しております。
今からこのバスでボローニャへ向かいボローニャ空港で
再手続きをし、搭乗して下さい。以上です」


さすがイタリアです。


「大変申し訳ございません」
という一言は絶対ありません。


どんなに乗客がブーブー言おうが
「しょうがないじゃない。私のせいじゃないし」
といわんばかりの態度。


何をもたもたしてんだか、
バスが出発したのはその1時間半後。
この手際の悪さもまたイタリア。


やっとボローニャ空港へ着いて搭乗し、
パリ・シャルルドゴール空港へ向けて出発。


こんなに遅くなったんじゃ、
パリからの成田行きには間に合わないな。


予想どおりパリへ着いたのは成田行きが出た後。
カウンターの人の説明によると、
全日空成田行きは1日に1便しか出ていないので、
パリに1泊して次の日の飛行機に乗るしかない。


ということでエアーフランスが飛行場内にある
ホテルを手配してくれ、
この日はそこに泊まることになった。


昼からフィレンツェ空港にいたのに
パリのホテルにチェックインした時にはもう夜の10時。
まったく、なんてこったい…。


でもここで、同じく成田行きへ乗る予定だった日本人のカヨコさんと
イタリア人カップルのディレッタとフランチェスコと知り合い、
心強い旅仲間3人と行動を共にすることになった。


次の日、
1日1便ということに付け加え、この夏休みの時期はだいたい満席。
早く行って座席を確保せねば!


朝早くから全日空カウンターへ4人で向かった。
ところが!1日1便なのでカウンターは搭乗時間の2時間前からし
開かないという。
搭乗時間は20時だからカウンターが開くのは18時。


「えっー!今から10時間後?!そんなんじゃ空いてる席も
埋まっちゃうかもしれないじゃん!」


また一歩、日本が遠のいた。
カヨコさんが
「私にまかせて!全日空に勤めている友達に聞いてみる」
「おおっ。神様仏様!」


カヨコさんの友達に手をまわしてもらって無事に
4人分の座席を確保。


ほっとしてホテルに戻りお昼を食べて、ロストバゲージになっているという
荷物の確認をしに行って、ホテルをチェックアウト。


が、部屋へ戻ると置いておいた荷物が全部なくなっていて
部屋がきれいに掃除されている。
「あれっ!お掃除のおばちゃん、チェックアウト済みと間違ったな」


ホテルのフロントへ
「すみません、チェックアウトしてないのに荷物が
片付けられていたのですが」
と言うと


「荷物はどんなものでした?」


「あのー、大きな黒い紙袋に沢山お菓子とかが入っているんですが」


「少々お待ちください」


係りの人が探しに行って15分後、


「ありませんでした」


「へっ?なかったって、そんなはずないんだけど。
おかしい。絶対あるはずだからもう一度探してください」


無事にチェックアウトを済ませた
カヨコさんとディレッタ、フランチェスコが心配して


「どうなった?」


「無いなんていうから、もう一回探してって頼んだの」


「今頃、お掃除のおばちゃん達が『いいもの見つけちゃった!』って
言って山分けしてるよ。もう食べられちゃってたりして。アハハハ」


そんな笑い話をして大爆笑していた。が、


今度はお掃除のおばちゃんが出てきて


「最初からこれしかなかったわよ」


とお菓子の箱を持ってきた。
そう、それ!お土産に買った私のお菓子!


えっ?でも箱空いてるし、中身ないじゃん!
しかもね、それだけじゃなくて他にもたくさんあるはず
なんだけど!どういうこと?


「本当にこれしかなかったのよ」


「そんなはずないです。この箱は空いてなかったし、


他にもたくさんあったはずです。それはこの人達も知ってますよ」
「そんなこと言われても、なかったんだから」


ホテルの従業員が食べちゃうなんて信じられん。
まったく開いた口がふさがらない。


しかも「ごめんなさい」の一言もなくて


「じゃ、お金を払います」ときた。


「あのね、この土産はただの観光土産とは違うの!
久しぶりに日本へ帰る私が色々な人に思いをこめて
買ったものなの!しかも『マンマに渡してよ』と
師匠マルコが持たせてくれたものもたくさん入ってたのに!
どうしてくれんのさ!」


フライト時間が迫ってしまい、仕方なくお金で払ってもらう
ことにし、だいたいのトータル金額を出して請求すると


「ノー!こんなに払えないわよ。10ユーロ以内じゃないと」


「なに〜人のものを勝手に食っときながら10ユーロしか払えん?!」


完全にブチ切れた私は猛烈抗議。


もはや言語はメチャメチャ。
日本語とイタリア語と英語でとにかく怒りを表現。
隣で一生懸命イタリア人のカップルとカヨコさんが係りの人に訳す。


「そんなに言うなら、レシート出してよ。そしたら払うわよ」


その横柄な態度がさらにむかついて、怒りも最高潮。


「この、アホんだら!レシートなんか持ってるわけないだろ!!
フランス人め、そんなんだからワールドカップ
イタリアに負けるんだ!(とは言ってないけど)」


押し問答のあげく、ついに時間切れ。


あとでレシートを送ってくれればその金額を払うと言うので
(まったく払う気はなさそうだったが)
ホテルの住所と電話番号と担当者名を控えて
泣く泣くこのホテルを後にした。



まったくついてないことばかりで本当に悲しいけど、
でもでもやっと日本へ帰れるんだ、それだけでいいじゃないか。


怒りと悲しさを抑えるのにそう自分にいいきかせながら
全日空カウンターに着くと、


担当のフランス人の感じの良いおじ様が


「昨日イタリアからいらしたお客様ですね。お待ちしておりました。
話は聞いていますよ、席もちゃんとありますからね」


流暢な日本語で、きちんとした対応。
さすがっ!ブラボー全日空!ブラボー日本の会社!


やっと乗れた飛行機の中では、
あれでもない、これでもないと悩みながら買った
お土産の3分の2を失ったショックで悲しくて
眠れなかった。


パリのホテルでもほとんど眠れなかったのに
ここでも眠れず、日本へ着いたときには顔に真っ黒なクマが。



成田では案の定、荷物がロストバゲージ


でもここでは
「大変申し訳ございません。追跡いたしまして、ご自宅まで
お届けいたしますので」


「ご丁寧にありがとうございます」


そう言ってしまったほど、日本の係りの人は丁寧な対応でした。
日本ではこれが普通なんだよな。
イタリア人やフランス人に教えてやって欲しい。


もしこれがイタリア人だったら私は心配で


「すいません、いつ届きます?もし届かなかったら
どこに問い合わせたらいいんですか?紛失した場合は…」


などの質問をしていたことでしょう。



日本到着1日目のディナーは寿司。


2日間寝ていないフラフラの状態で行った寿司屋「銚子丸」。


ボーっとした頭だったが、久しぶりの寿司は
涙が出るほど美味かった。
やっぱり米が違う!魚がうまい!


日本サイコー!!