No.8 寿司フェスタ!

このところ気持ち悪いくらい暖かくなりました。
フィレンツェでは、サクラや梅が切花でよく飾られています。
桜の木もちらほら見かけますが、満開です。


待ちに待った’春’です。
暖かいっ!!! うれしい!!

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☆寿司フェスタ



前回の「ラストサムライ」を観た時に日本の話になり、
ウルスラ
「susi、食べたことあるけどおいしかったー!」
フィレンツェではどこの寿司屋が一番おいしい?」
と聞いてきたので
「私はまだフィレンツェでは行った事がないからわからないなあ。
 よかったら私が作ろうか?」
「ホントに?やったー!じゃ今度の土曜日は寿司フェスタね!!」


で寿司を作る事になりました。


まず、私は鍋でごはんを炊いたことがなかったので
次の日からごはんを炊く練習。


そして、魚の値段が高いこのフィレンツェで、しかも新鮮で、
寿司ネタにできる種類の魚があるのか…と悩み、


日本料理レストランの板長、友達のクマさんに相談したところ、
「3,4人前でよかったら刺身わけてあげるよ。海苔も、お酢もよかったらどうぞ」
「おー助かる!ありがたーい」


やっぱり持つべきは尺八仲間だねえ…と涙を流して喜びました。



ご飯炊きの特訓をしながら、メニューも色々考えました。
生魚がダメだった場合には…’カリフォルニアロール’ 
そしてアメリカに住む妹に教えてもらった、
サーモンとクリームチーズの"フィラデルフィア巻き"も作ろう!


それから…極めつけはアイ・オリジナル
"スシ・ア・ラ・フィオレンティーナ”コレでいこう!
*これはネギトロ似のサルスィッチャ(トスカーナ料理編で
 登場した生肉ソーセージ)を使った太巻き


きっとサルスィッチャ大好物のジャコモは気に入ってくれるはず



そして向えた寿司フェスタ当日。
このフェスタの為に、ジャコモとシッマコ(ジャコモのパパ)、
長女のデボラもやって来た。


卵焼きをダシ巻きの要領で、クルクルと巻きながら作っていると
ニクラが「マンマ、見て!見て!!」
「わお。ブラビッシマ!(すごい)」
とみんながのぞきに来て、大注目を浴び、



巻き簾を使って太巻きを作り、切り口を見せれば
「わお。ベッリーノ!(きれい)」


マンマはペンとノートを用意してスタンバり、
逐一細かくメモっていて、切った太巻きの厚さを
定規で測っていた時には大笑い!


と、ここまでは全てが目新しかったようで
「アイ、ブラバー!ブラビッシマ!」
と’良い’の最上級でほめちぎられたのですが、ここからが悪かった…


この濃ッいー顔の人たちに本当に寿司は好まれるのか?


特にジャコモのパパ・シッマコさん、チャーリー・シーン
煮詰めてとても濃くしたような、ホリの深い、
眉毛がつながりそうなその顔はとても寿司を食べる顔には見えないぞ。
イヤイヤ寿司は顔で食べるもんじゃないし…



手巻きと太巻きだけにしたので
「お店で出てくるのはこのタイプ。でも今日は
 ファミリータイプを作りました」
と見本に握りと手巻きを作って見せました。


「じゃ食べましょう!」


言葉が通じていなかったのか、シッマコさん、お皿の上に
酢飯を載せたと思ったら、フォークとナイフで握りを作り始めた。
「オー!ノーっ!フォークとナイフで握りとは…またなんと難儀なことを!」


私ひとり大笑いしながら
「シッマコ!違う、違う!これはお寿司屋さんで
寿司のプロがこうやって手で握って作るタイプなの」


手巻きの作り方をもう一度レクチャーして、
「この様に、しょうゆとわさびをお好みでつけてお召し上がり下さい」
「さあ、どうぞ」


緊張の一瞬です…


みんなは楽しそうに好きな具を載せて、手巻きを作り始めました。
ところがパクッと口に入れた、その一口目で動きが止まった…。


「ううっ」となっている様子。
特にシッマコさん、完全に止まりました。


それを見ていたデボラが大笑い。
「参ったー」という感じのシッマコさんがおかしくて、
涙を流して笑っていました。


もう、みんな笑うしかない!というほどマズかったようで
とにかく大笑い。
「そうかーダメかー」と私も大笑い。


「海苔が私たちにはちょっとヘビーです」
と、みんな海苔を剥がしていました。


外人は海苔が苦手とよく聞くので
「これ、だいじょうぶ?」と海苔を試食してもらっておいたん
だけどな…。その時には
「うん、おいしい。おいしい」って言ってたんだけどな…。


酢飯もダメだったようで「甘いリッゾ(米)はイタリアにはないからね」
と言っていました。
結局、海苔と酢飯がダメ、じゃ寿司は食べられないじゃないですかっ!


も一つおかしかったのは、シッマコが
「海苔はあの四角いまま、わかめの様に
海の中をユラユラしていると思っていた」と言ったこと。


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こうして寿司フェスタは大不評のうちに幕を閉じたのでした。。。。。


次の日、大量に余ってしまった魚を使ってマンマが
魚のゴッタ煮’海鮮パスタ’を作ってくれたのですが
これがおいしかった!というより
この方がおしかったというべきか…


「やっぱりパスタがいいね!」と皆も思ったことでしょうが、
私まで
「昨日の寿司よりこのパスタおいしいなあ」
そう思ってしまいました。


やっぱりパスタはここの風土に一番合っているのですね。


一応言っておきますが、寿司はおいしくできたのですよ!
ごはんも上手く炊けたし、太巻きもうまくできたし。
私的には「完璧」だったのですが…。


ウルスラの食べた「おいしい寿司」はどんな寿司だったのか、
そっちを食べてみたい…。