No.20 ペルー人大家、エル

☆ 八重桜


彫金の学校の庭にある八重桜を見て、私は
この前「フィレンツェでも八重桜が咲きました」と
書いたのですが、この八重桜、実はプロフェッソ−レが
日本から持ってきて植えたものでした。


日本では、八重桜はなんとなくボタッとしていて
今ひとつに見えていたのですが、こちらで見ると
ピンクがとてもきれいで、違うものに見えます。
バラのようです。



彫金学校は朝10:00〜13:00までと、
15:00〜18:00まで。お昼休みは2時間あって
みんな一旦家に帰ってご飯を食べます。


日本だったら、先生は遅くとも5分前には学校に
着いて教室を開けていると思うのですが、
ここはイタリア、時間キッカリに行っても
まず開いていません。


10分過ぎたあたりで向こうからプロフェッソ−レが
ゆっくりと歩いてくるのが見える。


今日も3時20分くらいにやっとプロフェッソ−レが
やって来た。
「ボナセーラ、プロフェッソ−レ!」
「ボナセーラ、ボナセーラ」


プロフェッソ−レが庭を見ながら
「この桜、きれいでしょ。日本からね、苗木を持ってきて
植えたんだよ」
「あっー!!そうなんですか〜!ほんと、キレイですね!!」


私が枝を引き寄せて匂いを嗅いでいると、
プロフェッソ−レが花を一房取って
「ほれ、君にあげるよ」
「グラッツィェ、プロフェッソ−レ!」


なんだかプロフェッソ−レがとてもかわいらしくて、
私はとってもうれしくなりました。

。。。。。。。。。。。。。。。。


☆うちの大家さん


うちの大家のエル、ペルー人。
年齢不詳。


イタリア人のおっちゃんの彼氏2人。
他にもいるらしいが、現在、日本人の彼を探しているとか。


仕事は古美術の修復をしているという話だが、最近は
朝からずっと家にいて、夕方になると出掛けていく。
なんだか謎な人物。


こういったら語弊があるかもしれないが、ペルー人で
家を持っている人なんて、なんかでよっぽど稼いで儲けた人か、
お金持ちのおっちゃんに貢がせているか
どっちかではなかろうか。


このエルがお昼に私が帰って来るや否や、
「アイのジュエリーの学校はどこにあるの?
何て名前なの?」と聞いてきた。


何?何したいの?ジュエリーやりたいの?


他の学校も見に行ったが、そこはイマイチだったと言う。
何だか、よくわからないけど、情報が欲しいと言うので
場所と名前を教えてあげた。


何をたくらんでいるのだろう…。
だって仕事があったら学校なんていけないじゃん。


午後、学校でシコシコとブレスレットを作るための
板を削っていると、ビーとチャイムが鳴り、
誰かがやって来た。


「アンナ、見学したいって言う人が来たわよ」
インターホンに出た生徒がアンナ先生を呼び、
隣りの部屋でアンナがずっとしゃべっている。


「もしや…さっそくエル、来ちゃった?」


部屋を覗いて見ると、やはりエルだった。
え〜本気なんだ!ホントにやる気?
何をたくらんでるんだろ?
って、エルだと”たくらみ”に思えてしまう…。



いや〜でも、大家さんと家も一緒、学校も一緒で、
いつも一緒にいることになっちゃうよ。。。
どうなの、それ?!


やだなー。やだな。