No. 36  他人と同居すること

ischia2005-07-27

あの涙ちょちょぎれるほどの寒さだった冬を
もう思い出せないくらい、フィレンツェでは暑い日が続いています。


蝉もないています。
楕円形のスイカがたくさん売っています。
渦巻き型の蚊取り線香も売っています。
老若男女みんなジェラート食べてます。

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☆ 他人と同居すること


7月の頭に引っ越したばかりなのですが、また今月末に
引っ越します。


人と同居するということは楽しいことが多い反面、難しい
ことも多い。7月から住んだこの家では何が上手くいかなかったか。


新婚6ヶ月の夫婦、シャディー24歳(ヨルダン人)とマリア27歳
(イタリア人)この2人との同居。


このシャディーがちょっと神経質で小うるさい。


私がシャワーを使えば
「アイ、毎日シャワーは使い過ぎだ」


このクソ暑いのにシャワーするなだあ?


洗濯をすれば
「アイ、量が少ない。もっと溜めてからにしろ」


一週間に一回しかしてないだろが!
そんなに溜め込んだら着るものなくなるわ!


キッチンで洗い物をしていれば
「アイ、水はチョロチョロ出しと普通出しの中間、このくらい」
水の出し方まで指定してくる。


逐一チェックが入り、本当にうるさい。
しかもシャディーがいる時に洗濯機を回すと、なぜか
10分もしないうちに洗濯が終わり


「アイ、洗濯終わったよ」


と、ご丁寧に洗濯機のふたを開けておいて下さる。


う?おかしい…。10分もたってないのに洗濯終わるか?!
洗濯物のにおいをかいでみると、洗剤のにおいがしない。
さてはヤツめ、セットを勝手にかえやがったな。。。


こんな感じで、私は毎日監視されているようだった。


奥さんのマリアがナポリ人だけあって、大らかで
とても親切な人なのが救いだ!と思っていたのだが…


ある日、シャディーの兄弟と古くからの友人だという
(たぶん家の持ち主)少しご年配のヨルダン人のシニョーレが
夕食にやって来た。


私も同席させてもらって一緒にご飯を食べ、色々と聞かれる質問に
片言のイタリア語で一生懸命答えたのだが、それがどうも
このシニョーレにうけたらしい。


私の真似をしながら大爆笑。
私はシニョーレに気に入られたようでした。


シャディーは一目置いているこのシニョーレが私を気に入ったことで
少し安心したのか、この日から私に対してだいぶ友好的になった。


笑いをとろうとふざけてみせたり、冗談を言うようになったりして
以前のしかめっ面がなくなり、神経質なまでの小言も減った。


ところが、今度はマリアの様子がおかしい。
何故か3人で居るときは常に不機嫌。
シャディーが
「何怒ってんだよ〜!」とマリアをつついている。


私が思うに、どうやらマリアは私とシャディーのやりとりが
気に入らない。


別にそんなにしょっちゅうシャディーと2人でふざけているわけでなし、
お愛想笑い程度しかしていないのに、
「え?これが気に入らんの?」
信じられなかった。


が、シャディーいわく「マリアはとてもヤキモチ焼き」


だんだんマリアの私に対する態度がそっけなくなり、
話かけても、反応が鈍くなった。


しかも、シャディーの小言が減った分、今度はマリアが色々言ってくるように
なった。


本当に、こっちは普通に生活しているだけじゃないさ!
勘弁して欲しいよ。


で、私は即この家をでることにしました。
次の家はすぐに決まり、今度の日曜日に引っ越すことに。


ところがところが、このことをバカンスでナポリ
行っている2人に知らせておこうと、メールを送ったところ
シャディーが大激怒で電話をかけてきた。


シャディーが言うには
「初めの話では、最低でも2ヶ月住む約束だっただろ」


友達が紹介してくれたところなので、その友達には
シャディーは言ってたのかもしれないが、私は聞いていない。
覚えていない。


もしかしたら私がイタリア語を理解していなかったのかもしれない。


ともかくナポリから戻ったら話し合うことになった。


なんにせよ、契約書を交わしたわけではないのでシャディーの
言い分は通らない。


でも、私にとってとても居づらい環境であることを
話して、分かってもらいたい。
あの怒り様を考えると本当に気が重い。。。



次の家は、この家を決める前に見に行っていた所で、少し遠いので
一度お断りした家である。


「まだ空いていますか?」と問い合わせ、もう一度
家を訪ね事情を話したところ


「ちょうど1ヶ月だけ住んでいたメキシコ人が今日出たところなのよ!
ちょうどいいタイミングであなたから電話があったのよ。
パーフェクトだわ、アイ!」


喜んで迎え入れてくれました。


私はホットすると同時に、何故はじめからこの家にしなかったんだろ…
ちょっと後悔。


でも、
「アイ、前よりイタリア語うまくなったんじゃない?
だいぶ話せるようになったみたいよ。電話でも言っていること
よくわかったわよ」
と言われ、思いました。


1ヵ月半前ここに来たときは、なかなか言葉がでてこなくて
ほとんど言いたいことが言えず、モゴモゴしていた。


でも今日こうして事情を説明したり、質問したりできるのは
実はシャディーとマリアのお陰なんだと。


最初の頃だけだったけど、2人がよく話しかけてくれたり、
言葉を教えてくれたり、直してくれたり、
彼らの親戚の人たちとの交流もあったりして、イタリア語を
しゃべる機会が増えたお陰で、少し言葉が出てくるようになったんだと。


そうなのです。私は彼らにとても感謝している。
人としてみた時に、彼らはとても真面目だし親切だし、思いやりがある。
シャディーは若いのにしっかりしている、なかなかの青年だと思う。
一緒に住まなければきっと私達はいい友達になれただろう。


それを思うと今回のことは残念でならない。