No.44 フィレンツェ的共同生活

ischia2005-12-02

留学前、とても気になっていたこと。
ある日始まる、知らない人との共同生活。


日本にいた時、留学していた人から
「友達とシェアして家を借りて…」
「何人かの外国人と同居して住んで…」
という話を聞く度に


「他人と同居するってどんな感じ?!」
「掃除はどうしてたの?料理は?冷蔵庫は?」


学校も家も一緒なんて、私だったら嫌だなあ。
でも学校の友達でもない、知らない人との同居もなんだか
恐い。そう思っていた。


私はこの11ヶ月の間に3回、引っ越しをした。
やはり他人との生活は、合わない人と当たってしまった場合、
難しい面もある。


私のみならず、誰しも1,2回は大家ともめたり同居人と合わなかったりで
より良い環境を求めて、家を変えているようである。


日本では何回も引っ越したら、お金がかかって仕様がない。


何故イタリアでは何回も引っ越しが可能かというと、
まず日本のように敷金礼金といって何十万も必要なことはなく、
1ヶ月分の家賃をデポジットとして払えばよい。
このデポジットは家を出る時に、何かを壊したりしていなければ全額返ってくる。


そして、借りた家には電化製品や家具、食器類、布団、シーツなどなど
生活に必要なものはたいていすべて備えついている。


自分の身の回りのものを持って、トランク1つで引っ越しができる。
これはとても良い。


フィレンツェはイタリアの中でも特に家賃が高いようである。
シェアして1部屋借りた場合、平均1ヶ月300〜450ユーロくらい。


部屋を探す時は主に、掲示板を利用。
学校やインターネットポイント、バス停などに沢山張り紙が
してある。電話番号を控えて、連絡をとって部屋を見に行く。


不動産屋が入らないので仲介手数料もいらない。
自分で交渉して、条件などを確認して終わり。
細かい契約書もない。


契約書がなくて不安な場合は自分で書類を作り、サインしてもらう。
いざという時に前の私のように「言った。言わない」の争いに
ならずに済む。


我家は部屋によって違うが1人約350ユーロ。プラス光熱費。
私とイタリア人のマリアとアルゼンチン人のシルビーナの3人。
そしてウリッセという名前の猫一匹。


3人ともかなりアバウトなので、冷蔵庫の中もそれぞれのものが
混ぜ混ぜに入っている。

掃除は一応曜日ごとに当番が決まっているが、
気が付いた時に、気が付いた人がやるといった感じ。


私以外の二人はほとんど家にいないので、キッチンを使う時間や
お風呂の時間が重なることは無く、私にとってはかなり快適。


イタリア人のマリアは、たまに料理するが、その時は必ず私を
呼んで、作っているイタリア料理の説明と味見をさせてくれる。


アルゼンチン人のシルビーナは私が買っておいた
炭酸入りのミネラルウォーターが
残りコップ1,2杯分くらいになると、
何故か水道の水を満タンに継ぎ足してしまう。
たぶん無意識にやっているのだけど、困ったもんである。


このシルビーナに最近、彼氏ができた。
シルビーナはあまり猫が好きでなく、うちの猫ウリッセ君のことも
いつも「シッシッ!!」という感じ。


が、初めて彼氏を家に連れてきた時、開口一番
「ウリッセはどこ?」
と可愛らしげな様子でのたまった。


「うちにはかわいい猫ちゃんがいるのよ」とでも彼氏に言っていたのか。。


なに〜?!『ウリッセはどこ?』だあ?
あんた、いつもウリスなんて完全無視だったじゃないのさ!


私がウリッセ君とじゃれて遊んでいると、彼女は
「にゃ―ン。可愛い」と言った感じでネコなで声を出して、
彼氏と一緒に見ている。


おいおい。あんた、’ネコちゃんが好きなかわいい私’を
演出しているつもりか?


彼が冷蔵庫に貼ってある掃除当番表を見て
「当番が決まってるんだ」と言うと


「そうなの。私は月曜日よ」


ま、あんたは月曜日にもしなけりゃ、他の日にもめったにしないけどね。


シルビーナはほどなくして、彼の家に住み始め、帰ってこなくなった。
が、たまに戻ってきたかと思うと、家の色々なものを勝手に持って
行ってしまう。


いつの間にか鍋が1つ無くなり、鍋つかみがなくなり、エプロンが
無くなった。


ケーキ型が無くなった時は
「あんた、家で料理してるの一回も見たことないぞ!
そんなもん、必要か?作れんのか?」


きっと頑張って彼にいいとこ見せているんだろう。
まあ、せいぜい頑張ってくれ。
そのうち料理の腕も上がるだろうさ。


このシルビーナ、今月中に完全に彼氏邸に引っ越すことになった。
なんとなく私はホットしたが、同じくマリアもそうなのか


「シルビーナがいなくなるから、1人住んでくれる人を探さなくちゃね。
私、ジャポネーゼがいいわ。ジャポネーゼ大好きよ」


ありがとう、マリア。私もフィオレンティーナ、大好きです。