No.45 それでもだっ!

ischia2005-12-12

クリスマスシーズンになり、フィレンツェでは
街中でイルミネーションがきらめいています。


日本のような派手さ、豪華さはありませんが、街全体が
統一されたようなデコレーションで、シックな感じ。
とてもきれいです。


12月になると、土日は広場のいたるところで市がたちます。


売っているものは様々で、自然食品だったり
クリスマスのデコレーションものだったり、ホットドックのスタンドだったり。


私もサンタ・クローチェの広場の市を覗いてみたのですが、
紅白のテントが立ち並び、アメ横を思い出させるような
師走の活気。どこの国も同じなんだなと思いました。




☆ それでもだっ!



当初の予定では、私のイタリア滞在は12月まで。
12月15日で滞在許可証の期限が切れます。
が、私はもう1年滞在を延長することにし、先日延長の
手続きに行きました。


これまで私はまわりの人々に恵まれたお陰で、あまり寂しいと思うことなく
楽しく過ごしてきました。


が、ちょうど延長の手続きに行った日のこと。


唯一仲の良かった日本人の友達に、付き合っている人がいることが発覚。
最近、いつもの仲間との集まりにも姿を見せず、つき合い悪くなったな‥
と思っていたが、そういうことだったのか!
それは良かったじゃないの!


と思うのと同時に、なんとなく一人になってしまったような、
心に北風が吹き抜けるような、孤独感。


仲の良い外国人の友達は他にも何人も居るが、日本人の友達と
いうのは、言葉が通じるだけあって他の友達とはちょっと違う。
家族のような感じ。


外国に住む人がよく「パートナーがいても、何年もいると寂しくなってきて
帰りたくなる」というけれど、きっとこういう寂しさなんだろうな。
パートナーがいても友達が沢山いても、異国の地では所詮一人。


できるだけ長く、ここに居て、ジュエリーを作っていたいと
考えていた私が味わう、初めての孤独感。



「それでも君はずっとここに居たいと思うか?」
「こんな孤独にも耐えられるのか?」


そう問われているような気がしました。



そして、さらに次の日。


最近、土曜日だけ机を借りて作らせてもらっている、
マルコの工房でのこと。


この日は、照明デザイナーだというイタリア人のお客さんが
来ていた。


工房のスタッフとも親しいようで、最初は楽しく話していたのだが、
私があまり言葉ができないのがわかると、小バカにするような
ことを色々言ってきた。


こんな時、あまり言葉がわからなくてよかったと思うけど、
言葉がわからずとも、嫌がらせをされているのは
身体で感じることができる。


この日はひたすら、1mm大の蜂の巣状の穴をいとのこで開ける
作業をしていたのだが、このクソおやじは


「30過ぎでもまだ穴あけか?」
「次の君の誕生日はいつだ?それまでに穴あけは終わらせなきゃいけないな」


このっ、クソおやじ!!
この透かしの穴あけは熟練した職人の仕事だろが!ボケっ。
あんたのデザインした「フルーツ盛り合わせ」みたいな
シャンデリアとは違うんだよ!


でも、ムカつきながら思いました。


もし、こうやって工房でイタリア人に混ざって仕事をすることになったら、
学生にいた今までと違って、こういう嫌なことも増えてくるかもしれない。
でも、お客さんだったらムカついてもいられない。


がまんするしかない。
こういうことにも強くならないかん。




「それでも君はここでやっていきたいと思うか?」
「こんなことにも耐えていけるのか?」


またそう問われているような出来事でした。



滞在許可の再申請と同時に、自分の心の再確認。
ちょっと考えてみたが、私は迷わずリセット・ボタン、ON!


「それでも、私はここでやっていくぞ!!!」