No.50 プロフェッソーレのジュエリー

ischia2006-05-07

去年体調を崩されてから、以前のように毎日学校へ来て
制作活動をすることができなくなってしまったプロフェッソーレ。


たまに学校に見えると
「おー!君達がまだ居てくれたかい。会えてうれしいよ。調子はどうだい?」


とうれしそうに握手をして下さいます。


つい先日、今までは写真でしか見たことのなかった
プロフェッソーレのジュエリーをまじかに見る機会に恵まれたのですが、
私は本当に感動してしましました。


その日、娘のアンナ先生がプロフェッソーレの作ったジュエリーコレクション
20点くらいだったか、フランスから来たお客さんに見せるために
持ってきていました。


「あなた達もいい機会だから良くみておきなさい」


と言われ、ズラリと並べられたそのコレクションを見た瞬間、
皆一斉に


「うわー!!」


そのジュエリーはとても暖かな輝きを放っていました。


もちろん、金を使っていたり宝石もふんだんに使っていて
その輝きもあるのだけど、それだけではない。


プロフェッソーレの得意技「打ち出し」でコツコツと一つづつ
丁寧に打ちだされていった手のぬくもりを感じる、
他のジュエリーにはない輝きのあるジュエリー。


こんなジュエリーがお店で売っているのは見たことない!


しかも、デザインがまたなんともかわいらしい。
あのおじいちゃんがこんなにかわいいジュエリーを作るなんて!!


私は大学生の時に、アール・ヌーボー時代のルネ・ラリックという
人のジュエリーを初めて見て


「世の中にこんなに美しいものがあったなんて!」


といたく感動し、自分もやりたくなり、彫金をはじめました。
その時の感動に勝るとも劣らない今日のこの感動。



私は何か、自分の中にいっきに色々な思いがブワーッと
沸いてきて混乱し、ソワソワしてしまいました。


素晴らしい作品と出合った時の新鮮な感動。
心が洗われたような、爽快感。


「私もプロフェッソーレのような暖かい光のあるジュエリーを作りたい!!!」
「私もプロフェッソーレ目指して頑張ろう!!」


自分の中になんだか新しい力が湧いてくるのを感じました。
プロフェッソーレのジュエリーは人の心の中にも輝きをわけてくれる、
そんなジュエリーでした。



それにしても、プロフェッソーレのこの素晴らしい「打ち出し」の技術、
プロフェッソーレから教わりたかった!


プロフェッソーレは90歳。お歳をとり過ぎてしまい、もう
教えることができません。


一番やりたかった「打ち出し」が習えないまま、このプロフェッソーレ
の学校も6月で閉校になります。


なんて残念かわかりません。
本当にもっと早く、もっと早くここに来ていればよかった…。
日本で無駄にウダウダと過ごしていた自分はバカだった…。
本当に残念でならない。


…いや、ちょっと待てよ。
プロフェッソーレは今90歳。
もし私が10年早く来ていたとしても80歳。
20年前でも70歳。


オーノー! マンマ・ミーア!!!


私は生まれる時代を間違った!?